星の記憶



空を見上げるとシリウスが見えた。


誰かが知ったかぶった。


『ねぇ知っている?あの光はもう何億年も前に放たれた光なんだよ』


そうなんだと、

また別の誰かが感心して言った。



『じゃあ今は、もうそこにないのかもしれないね』





あの星がもしももうすでに此処になくて。



ただの残像だというのなら。



ただの想い出に過ぎないとしたら。





今此処にある景色だって。



一体誰かがまだ此処にいると証明できる。




『あの星の名前を知ってる?』




そう話したあの子達。



気付いたらもうそこにいなかった。