『さようなら』
彼女は電話越しにそう言った。
そこでその映画は幕を閉じた。
音楽が流れてエンドロールが流れ始めた。
これまで出てきた出演者やスポンサー、製作者の名前が流れていく。
そして頭の中に『fin』の文字が浮かんだ。
映画はもうこれで終わり。
めでたしめでたし。
そのはずだったのに。
それでも気付いたらまだ続いている。
まだ終わってくれない。
エンドロールが流れ後も。
世界はずっと続いている。
例えば主人公が死んだ後だって。
それでもまだ永遠に。
彼女は今頃、また別の映画の出演に備えているのだろう。